家庭学習のメリット・デメリットとは?塾での勉強と違いはあるの?

家庭学習

家庭学習を習慣化したいと考える親御さんは多いはず。

親が勉強に関わっている家庭ほど、子どもの学習時間は長くなる傾向にあり、子どもは勉強が楽しいと感じる割合が高いそうです。

しかし、親が多忙な場合、子どもの勉強に関わってあげたくともなかなか見てあげられない、とお悩みの親御さんもおられるのではないでしょうか。

家庭学習にはメリットもありますが、方法によってはデメリットになることもあります。

ここでは、家庭学習のメリット・デメリットと、利点を活かしたおすすめの学習方法も併せてご紹介したいと思います。

家庭学習のメリットとは

家庭学習のメリットを5つ挙げてみました。

  • 安全である
  • 経済的
  • 子どもの学習状況を把握出来る
  • 子供の状況に応じて学習時間等を決定
  • 子どものペースで学習を進められる

では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

安全である

第一に、安心、安全であるという点です。

近頃は子どもたちを狙う犯罪も増加し、また、昔と比較して交通量も多くなりました。

事件・事故に巻き込まれるリスクを考えると、子ども一人で塾に行かせるのは心配というご家庭も多いのではないでしょうか。

自宅にいられるということは、つまり不審者・交通事故に遭う心配もありません。

また、家庭学習をすることによって塾などへの送迎の必要もないため、親の負担がなく時間の節約にもなります。

経済的

塾代がかからないのは大きなメリットのひとつですね。

家庭学習が出来れば、金銭面の負担が軽くなり、その分他のことに有効に使うこともできますね。

市販のテキストは難易度もさまざまで、子どものレベルに合わせて進めることができますし、価格も1,000円までのものが多く、家庭学習にかかる教材費は月5,000円までで事足りるでしょう。

また、自宅にパソコンとプリンターさえあれば、学習問題の無料ダウンロードサイトから子どもに挑戦させたい学習内容のプリントが無料で入手できます。

以下は、文部科学省「令和3年度子供の学習費調査の結果について」をもとに、家庭が1年間に「学校外の活動費(塾や通信教育など)」に支払った費用の平均についてまとめたものです。

  • 公立小学校 約25万円
  • 私立小学校 約66万円
  • 公立中学校 約37万円
  • 私立中学校 約37万円

文部科学省 子どもの学習費調査

私立小学校は中学受験に向けて通塾をする家庭が多いため、かかる費用も高くなっています。

このように、家庭学習が出来れば、かなりの塾代が節約できるということになりますね。

子どもの学習状況を把握出来る

家庭学習を行うことで、子どもと向き合う時間は自然と増えます。

子どもの疑問にもその都度答えることができますし、信頼関係をより深めることにもつながるでしょう。

普段の生活の中だけではわからない、子どもの成長や学習の様子も見えてくるかもしれませんね。

例えば、問題への取り組み方や途中計算、漢字の書き方、得意・不得意分野といった学習に関係する情報は、学校のテストの点数だけでは知り得ないこともあります。

家庭学習を通じ、コミュニケ―ションも円滑になることによって、普段学校のことについてあまり口を開かないお子さんでも、勉強に取り組みながら自然に話をしてくれるようになるのではないでしょうか。

学校での子どもの様子や友人との関わりなどは、親としては是非とも知っておきたい情報ですよね。

子どもの状況に応じて学習時間などを決定

特に低学年の子どもは、体調や気持ちによって机に向かうのが厳しい状態が頻繁に起こり得ます。

家庭学習であれば、開始時間・終了時間・学習内容を子どもの状態に合わせてあげることが可能になります。

勿論、決めた日に決めたことをやり遂げることは大切ですから、度々学習予定を変更するのは得策ではありませんが、徐々にきちんと約束を守って家庭学習に取り組めるよう、親も声掛けをして働きかけ、子どもがいつもベストな状態で学習できる習慣づけをしてあげて下さい。

理解できるまで時間を取れる

学校の一斉授業の場合、わからない生徒がいても、時間制限やカリキュラム進行のために授業内容はどんどん進んでいきます。

子どもの性格によっては、先生に遠慮なく質問するのは難しい場合もあるでしょう。

しかし、家庭学習では親が先生です。

心許した家族だからこそ自由に質問ができますし、子どもが完全に理解するまでじっくり教えられることも家庭学習の強みになりますね。

また、自分で計画を立て、自分で問題を解いて答え合わせをするので効率よく進めますし、既に知っている内容を再度学習する無駄も省けて、やりたい勉強・必要な勉強に絞ることもできますね。

自分で計画を立て、自分で実行する習慣づけをしておけば、生涯いろいろな場面で役に立つでしょう。

以上が、家庭学習のメリット5つでした。

これらに対して、家庭学習のデメリットとはどのようなものでしょうか。

家庭学習のデメリットとは

次に、家庭学習のデメリットについて5つご紹介します。

  • 親の負担が増える
  • 学習カリキュラムを自身で決定する必要がある
  • 時間を自由に使え過ぎる
  • やる気の継続が難しい
  • 相対的学力の把握が困難

メリットと裏表一体のものもありますが、詳しく見ていきましょう。

親の負担が増える

子どもと向き合う時間が増えることにより、親子間のコミュニケーションは増えます。

しかしながら、親が仕事で忙しい場合や体調が優れない時等、子どもの学習に付き合うことが難しい場面もあるでしょう。

子どもが自学自習の習慣がつくまでは、子どもの側にいる必要がありますし、その日の事情によって、子どもの学習に保護者が寄り添えないと、そこで学習がストップしてしまいます。

子どもの学習態度が良くなかったり学習がスムーズに進まない時などは、つい親もイライラしがち。

他の事では冷静でいられても、わが子のことになると感情的になってしまうというケースは多く、また、子どもからの質問に答えられるようにと、親もそれなりの準備が必要になるため、親の負担が増えることもあります。

学習カリキュラムを自身で決定する必要がある

家庭学習では、勉強の内容、進度、分量、時間帯など、学習にまつわることを全て自分で考えて決めなければなりません。

子どもの学習状況をよく観察した上で計画を練り、時には進度調整も必要です。

また、進度や分量に無理があると学習がスムーズにいかなくなり、家庭学習が機能しなくなってしまいますので、困ったなと感じた際には、他者のサポートや第三者視点の修正を入れることも検討しましょう。

時間を自由に使え過ぎる

家庭学習は時間の使い方を自分で決められる一方、自由に使い過ぎてしまうリスクもあります。

はっきり言うと、サボってしまうリスクです。

ちょっと息抜き・・・と称してスマホを触ったりゲームをやってしまったりと、勉強する時間とプライベートの時間の区別がうまくつけられず、ついついダラダラした生活になってしまうということが懸念されます。

そんな日が続いてしまうと、生活習慣も乱れてしまい、気を取り直してまた学習に取り組むというモチベーションに戻すのはなかなか難しいかもしれませんね。

家庭学習の習慣づけに時間はかかっても、習慣づけの解除はあっという間に出来てしまうということです。

自分次第の家庭学習は、他の勉強方法よりもサボりに対して強力な自制心を働かせて取り組まなければいけないんですね。

やる気の継続が難しい

人間は飽きっぽい生き物です。

家庭学習は自分自身で行う勉強方法ですから、刺激が少なく環境の変化が乏しいもの。

このため、他の勉強方法に比べると飽きてしまうリスクも高くなります。

親と子どもの双方に「勉強するぞ!」という強い意志がないと、「今日は別のことをしたいから明日でいいか」とか「今日は疲れたからまた明日から頑張ろう」などという理由づけをして怠けてしまい、家庭学習がうまく続かない場合が多くあるということです。

家庭学習は、基本的には誰も助けてくれません。

勉強するも遊ぶも自由ですが、今後の成績やテストの合否の全責任は自分次第!

自分がやらなければ終わり、というくらいの強い気持ちを持って、自ら危機感を生み出しましょう。

危機感があると自分の能力を絞り出さざるを得なくなるので、危機感を持つことは家庭学習には有効ではないでしょうか。

相対的学力の把握が困難

家庭学習だけでは客観的な成績を把握しづらいというデメリットがあります。

塾や学習教室では、他の子どもと比べた「相対評価」で子どもの学習レベルを見極め、指導方法を決めていきます。

それによって、客観的に見た学力差を親子ともに知ることができるのです。

これに対して、家庭学習は絶対評価。

親の欲目や、親だからこその辛口採点で子どもの学力を評価してしまいがちです。

子どもが小学生の場合は、さほど相対学力そのものを気にしすぎる必要はありませんので、子どもの”絶対学力”を把握し、それを一定以上のレベルに高めておけば問題ないでしょう。

しかし、中学・高校・大学受験となると、学校ごとの出題傾向や特性、受験の分析を行い、最新情報を自分で取りに行かなければなりません。

家庭学習では情報を提供してくれる人はいないため、外部から勝手に情報が入ってくることがありません。

母集団の大きな模試などを受けて実力をはかると共に、自身の相対的学力を把握しておきましょう。

以上が、家庭学習のデメリット5つでした。

では最後に、家庭学習の利点を生かしたおすすめ学習方法をご紹介します。

家庭学習の利点を生かしたおすすめ学習方法

家庭学習では、メリット・デメリットは隣り合わせですが、家庭学習の利点を生かしたおすすめ学習方法とはどのようなものがあるでしょうか。

  • 子どもの好き・得意な教科から学習を始め、知的好奇心を伸ばす
  • 子どもの成長に合わせて、向き合い方を意識する
  • リフレッシュ方法を見つけてあげる

子どもの好き・得意な教科から学習を始め、知的好奇心を伸ばす

何事もスタートは肝心です。

「勉強は楽しい」、「もっと知りたい」と思わせるためにも、家庭学習ではまずは子どもの好き・得意な教科から学習をスタートさせてあげましょう。

勉強を好きになってくれれば知的好奇心が広がり、物事を掘り下げる探究心も身につきます。

苦手な教科と向き合うときはやってきますが、今すぐでなくても構いません。

子どもが生き生きとした目で勉強する姿を見るためにも、まずはひとつの教科に打ち込むことから始めてあげて下さい。

子どもの成長に合わせて、向き合い方を意識する

家庭学習をサポートする上で、特に小学生は学年によって意識したいポイントが異なります。

  • 1・2年生は「習慣化」
  • 3・4年生は「自学自習への分岐点」
  • 5・6年生は「見守り」

子どもの成長に合わせて向き合い方を意識することにより、家庭学習の成果は変わってくるでしょう。

1・2年生は「習慣化」

まずは、「勉強は学校だけでなく家でもするものなんだ」という意識づけ・習慣づけをしましょう。

学習時間は、初めは20分程度でも構いません。

「おやつやゲームは勉強が終わってから」など、帰宅してからすることをフロー化するのも良い方法のひとつですね。

やりたいこと・やるべきことには優先順位があるということを子どもに意識させることは大切です。

また、あらゆることが気になる好奇心旺盛な時期なので、「これは何?」、「○○ってどういう意味?」などとたくさん質問してくるでしょうから、できるだけ一緒に考えたり調べたりしてあげて下さい。

その過程を経て、わからないことや疑問点を自分で考えたり調べたりできる子ども、つまり自学自習のできる子どもに成長するでしょう。

3・4年生は「自学自習への分岐点」

学校生活にも慣れ、行動範囲がぐっと広がってくる時期です。

好きなことに熱中し、親に聞いたりせずに自分でやろうとする子どもも出てきます。

しかし、まだまだフォローが必要な時期です。

学校で習うことも増えてくるので、学習のサポートはしっかりしてあげて下さい。

学習時間の目安は30~40分とし、1・2年生のときと同じくやる気を引き出すような声掛けをして、学習に導いてあげることが大切です。

また、「放課後は友達と遊びたい!」などの理由から、家庭学習に嫌気がさしてくることも想定できます。

そのようなときは、例えば家庭学習の時間を朝に変えてみてはいかがでしょうか。

学校の勉強でへとへとになる前に、その日の学習分を終わらせてしまうのも作戦のひとつですね。

5・6年生は「見守り」

自分なりの考えができ、それを周囲に主張できるようになってくる時期です。

「自分でできる」という自信がついている子もいるため、言葉の掛け方には配慮しましょう。

心身共に成長していく過程なので、不安定になったり傷つきやすい状態になることもあります。

口うるさく注意するだけではなく、これまで以上に見守りに重点を置くことが大切です。

学習時間の目安は1時間ですが、勉強の難易度も上がり、子どもそれぞれの理解度やペースも異なるので、子どもの気持ちも尊重しながら学習時間は変動してもいいでしょう。

「算数の点数を上げたい」、「漢字をもっと覚えたい」など、学習内容も子どもと話し合うことをおすすめします。

尚、高学年になっても、頑張りを認められることは嬉しいものですから、子どもの日々の努力や成果を大いに褒め、応援してあげて下さい。

リフレッシュ方法を見つけてあげる

家庭学習を無駄にしないためにも、ひとつでも家庭でできるリフレッシュ方法をみつけてあげるといいですね。

例えば、軽いダンスやストレッチなど、身体を動かして軽い負荷をかけるのも良い方法のひとつですし、絵を描いたり文字を書いたりといった単純作業もリフレッシュ効果があります。

短時間ならゲームや動画を観るのもリフレッシュの選択肢として考えてもいいでしょう。

ゲームは達成感を得ることができ、気分転換にもなります。

他には美味しいものを一緒に食べるなど、子どもの好きなことをうまく使ってリフレッシュできる方法を見つけて気分転換させてあげて下さい。

気持ちを切り替えてあげることで、「また頑張ろう!」と勉強に向かえるような環境づくりをしてあげましょう。

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