突然ですが、嘘をついたことはありますか?
反対に、嘘をつかれたことはありますか?
嘘は後でバレるのに・・・
嘘はいけないとわかっているのに・・・
なぜ人は噓をつくのでしょうか。
なぜ嘘をついてはいけないのか、子どもに聞かれたことがある人も多いのではないでしょうか。
かく言う子どもは、成績に関して嘘をつきがちですよね。
そこで、ここでは、成績に関して子どもが嘘をつくことについて、詳しく見ていきたいと思います。
嘘をついたことのない人はいない
嘘は良くないけれど、嘘をついたことのない人はいないですよね。
嘘には程度がありますから、ちょっとした嘘をついたことはだれでもあるはずです。
研究によれば、嘘をつくには脳の発達が必要なようです。
例えば、子どもに対して行われたこんな実験があります。
母親と子どものいる部屋に箱があります。
母親は「箱を開けちゃいけないよ。」と言って部屋を出ますが、子どもは開けてしまします。
母親が戻ってきて「箱開けた?」ときくと、3歳くらいからは「開けてない。」と嘘をつけるそうです。
ところが、「中身なんだった?」と聞くと、3歳くらいでは「ぬいぐるみ!」等、嘘の辻褄を合わせられず、正直に答えてします。
「中身なんだった?」の問いに、「見てないから、わからない。」と嘘に嘘を重ねるようになるのは、7歳ごろからだとか。
嘘に嘘を重ねるのは、なんと成長のあかしだったんですね。
このように、成長するにつれ、嘘が上手になっていくのですから、嘘をついたことのない人はいませんね。
それでは、なぜ嘘は良くないのでしょうか。
なぜ嘘は良くないのか?
嘘が良くない理由を以下の2つの側面から考えてみました。
- 社会的な側面
- 個人的な側面
社会的な側面
私たちは社会の中で、社会の一員として暮らし、それぞれが様々な種類のコミュニティに属しています。
家族というコミュニティ、学校というコミュニティ、部活動というコミュニティ、習い事関連のコミュニティ、仕事関連のコミュニティ、地元というコミュニティ等、挙げ出したらキリがありません。
最近では、SNSの発達のおかげで、容易に誰かとつながることができるようになり、趣味のコミュニティに属することも簡単になってきましたよね。
人は一人では生きていけないとよく言いますが、このように私たちは必ず何かしらのコミュニティに属しており、コミュニティは社会的な性質をもちます。
このような社会の中で、安心して暮らすには、他者に対する信用と他者からの信用が必要になります。
例えば、「嘘をついても良い社会」を想像してみてください。
- 明日朝6時集合なのに朝7時集合と嘘をついても良い。
- テスト範囲を少なく伝えて嘘をついても良い。
- 納期を1週間を伝えて嘘をついても良い。
- 外国産なのに国産と嘘をついても良い。
- 牛肉100%ではないのに牛肉100%と嘘をついても良い。
私が考えた嘘なので意味不明な嘘もちっぽけな嘘もありますが、実際に社会問題になった嘘もありますね。
つまり、「嘘をついても良い社会」では、そもそも社会が成り立たなくなりますよね。
社会が成り立つためには、他者に対する信頼・信用が必要不可欠であるのと同様に、他者からの信頼・信用が必要不可欠なんです。
それを担保するために、「嘘はだめだよね」というルールがあるんですね。
個人的な側面
自分のまちがいや失敗を認めたくなかったり、見栄やプライドを守るため、嘘をつくことがあります。
一見、これは自分を守るための行動のように見えます。
けれども、嘘をつくということは、自分を認めないことを意味します。
したがって、嘘をつき続けることで、結果的に自分を否定し続け、自己肯定感がなくなっていきます。
自己肯定感については、政府も重要な概念として認識しており、自己肯定感を高めるための取り組みが教育において必要であると解しています。(文部科学省資料 自己肯定感を高め、自らの手で未来を切り拓ひらく子供を育む教育の実現に向けた、学校、家庭、地域の教育力の向上)。
ですから、社会的な側面とは異なる観点で、人が人として幸福を感じて生きていくためには、自分が自分を認めてあげることが必要ということになります。
以上、嘘がいけない理由を2つの側面から考えてみました。
さて、哲学的なお話はこれくらいにしておいて、具体的に、成績に関して子どもが嘘をつくパターンとと原因について、考えてみましょう。
成績に関して子どもが嘘をつくパターンと原因は?
子どもが成績に関して嘘をつく場合、それはほとんどの場合、自分を守るためについていると思われます。
おおかた以下のパターンに分類されます。
- 友達に対して嘘をつく場合
- 学校の先生や塾の先生に対して嘘をつく場合
- 親に対して嘘をつく場合
友達に対して嘘をつく場合
このパターンは、割合としてはそんなに多くはなさそうですね。
友達に対して嘘をつくほとんどは、見栄やプライドが原因でしょう。
例外もあるでしょうが、そこまで大問題になることも少ないですよね。
むしろ、友達に嘘をついてしまったことで、信頼関係の大切さに気付くという成長ができるかもしれません。
学校の先生や塾の先生に対して嘘をつく場合
親を除く大人という意味で、子どもが成績に関して嘘をつくとすれば、先生たちでしょう。
その理由の多くはおそらく、叱られるから、怒られるからでしょう。
ただ、学校は成績を出す側ですし、塾の先生もしっかりと子どものことを見ていれば嘘を見抜けることも多いでしょう。
親に対して嘘をつく場合
子どもが成績に関して嘘をいう場合、圧倒的に親に対してつくパターンが多いですよね。
理由も、叱られるから、怒られるから、でしょう。
親によっては、表面的な成績だけを見ている場合もありますので、学校や塾の先生のようには気づきにくい可能性もあります。
さらに、親に対してつく嘘は少々複雑になりがちです。
なぜなら、嘘に嘘を重ねている場合が多く、その内容も成績だけにとどまらなくなっているケースも見られます。
子どもが成績に関して嘘をつく場合、自分を守るためについていると述べました。
しかし、初めにも確認したように、嘘をつき続けることで、結果的に自分を否定し続け、自己肯定感がなくなっていきます。
子どもには幸せになってほしい。
どの親もそう切に願っていますよね。
それでは、親が子どものためにすべきことは何でしょうか。
子どもがつく成績の嘘に対して親がすべきことは何か
子どもがつく成績の嘘に対して親がすべきことは以下の3つです。
- はったりを言わない
- 大きすぎるプレッシャーを与えない
- 困ったら相談できる・助けてを言える環境を作る
はったりを言わない
子どもの成績が下がったり、良くなかったときに、「次のテストで50点切ったら、部活辞めさせるからね!」というようなことを言ったことはありませんか?
スマホやゲームをだらだら続けて宿題をしないのを見て、「宿題やらないんだったら、スマホ(ゲーム)没収するからね!」というようなことを言ったことはありませんか?
実際に、その「〇〇だったら」が発生してしまい、親も「××するからね!」を実行している場合は問題ありません。
問題は、「〇〇だったら」が発生したのにも関わらず、××の部分を実行しない場合です。
これは、はったりです。
親としては、子どもが嫌がることを提示して、ちょっとでもやる気を出して頑張ってもらいたい思いいで言ってるんですけどね。
例えば、「次のテストで50点切ったら、部活辞めさせるからね!」を毎回定期テスト度に言われているとします。
しかし、毎回50点を切っているのに部活を辞めなかった場合、子どもとしては「どうせ、言ってるだけ。」という意識が芽生えてしましますよね。
これ、見方によっては嘘に見えませんか?
もちろん、親のやさしさもあって、簡単には部活を辞めさせたくはないのでしょうが、そうであれば、条件提示にそれを持ってきてはいけません。
スマホがないと生活が困るから没収しないのでしょうが、そうであれば、スマホを条件提示に含めてはいけないのです。
大きすぎるプレッシャーを与えない
どんな子も親が大好きです。
親に褒めてもらいたい、喜んでもらいたい。
そんな気持ちで勉強する子も少なくありません。
特に年齢が幼いときはなおさらですよね。
親も、我が子が良くできたときにはうんと褒めますし、大喜びします。
そうすると子どもなりに、親をがっかりさせたくない、残念に思わせたくないという気持ちが生じます。
したがって、この場合につく嘘は、どちらかというと他者を想ってつく嘘ということになります。
それでも、嘘は嘘ですから、できるだけつかないでほしいものですよね。
年齢が上がるにつれて勉強は難しくなっていくのですから、長い学校生活の中で成績の上下はあって当然です。
このような場合を想定して、過度に大きなプレッシャーを与えないことが大切です。
さらに、成績が下がったとしても必ず頑張りを褒めるとか、次につながるようなプラスの言葉をかけましょう。
困ったときに、相談できる・助けてを言える環境を作る
この環境作りには、否定的な言葉を浴びせないことが必要です。
でも、実際、カッとなってキツく言ってしまったり、場合によっては怒鳴ったりしてしまうこともあるでしょう。
親も感情を持つ人間ですから、致し方のないこともあります。
けれども、そうしてしまった場合でも、必ずフォローの声掛けを忘れないでください。
「あなたのことを愛しているんだ。」という意思表示です。
冗談ではありません。
文言や意思表示の方法は変えてもらって構いません。
親に愛されているという安心感のある子は、必ず親を頼ることができます。
そうすれば、取り返しのつかなくなる前に親子で対処を考えることができますよね。
嘘と一口に言っても、軽微な嘘から、こころのケアを必要とするような重大な嘘まであります。
特に重大な嘘ともなれば親としては悲しい気持ちになりますが、悲しんでいる場合ではありません。
嘘に嘘を重ねて苦しむ子どものこころを救ってあげられるのは、親しかいません。
子どもときちんと向き合って、こころの声を聴いてあげてくださいね。