親が勉強を教えるべきなのか?というテーマは、小中学生の子どもを持つ親にとっては一度は悩むところではないでしょうか。
しかしながら、我が子の勉強を見るとつい口調がきつくなってしまったり、子どもも親への甘えが出て素直に聞けなかったりと、すぐに親子喧嘩になってしまうという話もよく耳にします。
教えてあげたいのは山々だが、学年が上がるにつれて親が教えてあげられなくなるという悩みもまたよく聞きます。
子どもの勉強に関心はある、出来ることなら見てあげたい、という親御さんのために、家庭学習で親が教える際の秘訣をご紹介したいと思います。
実践的な内容ですので是非取り入れてみて下さいね。
家庭学習で親が教えることの意味
家庭学習で親が教えることの意味について探っていきたいと思います。
勉強を教えるというと、「解法を説明する」、「分からない問題の解き方を教える」という点に注目されがちですが、実はそれだけではありません。
「勉強の教え方」について、ポイントを解説していきたいと思います。
家庭学習でも、これらに沿って実践していけば、必ず「勉強を教えられる」ようになりますよ!
- まずは計画を立て、進捗状況を確認する
- 新たに学習する内容は、知識のインプット中心でOK
- わからない問題の解き方を教える
- テストで良い点数を取るべく対策する
- やる気の出る働きかけを重視する
まずは計画を立て、進捗状況を確認する
まず初めに、計画を立てることから着手します。
「何のために」、「何を目標に」という点を子どもと一緒に考えるところから始めたいですね。
目的と目標を決めたら、学習期間も産出し、必要な学習を期間内に完了出来るよう計画に落とし込みましょう。
その際には、学校行事や長期休み、習い事の予定等も加味して、無理のないスケジュールになるよう注意してあげて下さい。
また、計画は教科ごとに立てることをおすすめします。
そしてできるだけ具体化して、子ども自身が「何をするのか」が一目でわかるようにしてあげて下さい。
例えば、「算数を勉強する」ではなく、「算数のワーク○~○ページまで、繰り上がりに注意して解く」といったように。
また、学習の進み具合や理解度、定着度に合わせ、復習が必要な単元は今一度立ち戻って学習する等、必ず進度は適宜修正して、進捗状況のチェックをしてあげて下さいね。
新たに学習する内容は、知識のインプット学習中心でOK
初出箇所の学習として、新しい内容の知識を正しく与えることも勉強の一部です。
以下に、教科別に一例をまとめてみました。
国語
- 作者について詳しく調べる
- 絵本で読んだ昔話の原典を読む
社会
- 一緒にニュースや新聞を見て、時事問題について議論する
- 政治について触れ、実際に選挙の投票場所に連れて行く
- 限りある資源の大切さついて学び、浄水場や下水道科学館の見学に行く
算数・数学
- ケーキを切り分けて「等分」を実体験する
- 食塩水を使って割合を理解する
理科
- 図鑑等で生物や植物について調べる
- 天体観測やプラネタリウム体験をする
- 津波や地震といった自然災害について触れ、防災センターに連れて行く
わからない問題の解き方を教える
子どもが「わからない」と言った問題だけでなく、答えが合っている問題でも、親から見て「この解き方は曖昧なのでは?」と感じた場合には、正しい解き方を丁寧に教えましょう。
マンツーマンでじっくり取り組めるのは、家庭学習で親が教えるからこその利点ですよね。
注意点としては、学年相応の教え方をするという点です。
小学生が算数の解き方をお父さんに尋ねたら、「方程式を使えば簡単に解けるから、と言って方程式の解き方を教えてくれた」という話をよく耳にします。
子どもたちの脳は年齢相応で物事を理解しますし、算数ならではの解法で学力を積み上げながら習得していくよう構成されています。
学校進度や学校の教え方から逸脱した内容を教えるのは避けましょう。
テストで良い点数を取るべく対策する
テスト対策としての観点からは、学年を問わず、本番で良い点数を取るべく対策することが重要です。
子どもたちは日頃、新しいことを学習し、そして出来るようにするというインプット重視の勉強をしています。
本番対策をしておかないと、アウトプットの練習が不足してしまい、本番で実力を発揮することが出来ないかもしれませんよね。
本番で良い結果を残すためには、インプット学習に加え、適切なアウトプット練習も重要だと言う点をおさえておいて下さい。
では、効果的なアウトプット学習についていくつかご紹介しましょう。
- 覚えた内容のテストをする
- 読んだ文章の内容を自分の言葉でノートにまとめる
- 学習内容をわかりやすく人に伝える
- 知り得た情報に対して意見を述べる
知識をしっかり定着させるにはインプット・アウトプット、両方が必要です。
アウトプットをするには当然インプットが必要なのですが、本や参考書を読むだけで勉強した気になってしまい、せっかく時間をかけて勉強したことをすぐに忘れるともったいないですよね。
聞いてわかった気になったり、読んで終わりではなく、そこからもう一歩踏み込んで、ポイントをノートにまとめたり誰かに説明をすることが大切です。
いくつかのアウトプットを組み合わせることで、「勉強してもなかなか覚えられない」、という悩みにも十分効果が期待できます。
是非参考にしてみて下さいね。
やる気の出る働きかけを重視する
こちらは勉強の教え方ではありませんが、やる気の出る働きかけをするという点は、実は一番重要なポイントです。
勿論、先生や周りから働きかけてもらうこともひとつですが、誰に応援して褒めてもらうより、親が応援してくれているこそが、何よりも子どものモチベーションを上げられます。
やる気は子どもの心の持ちよう、何においても重要なのです。
冒頭で計画について触れましたが、目標を立てるというのも、実はやる気や意欲につながります。
目標を明確にし、実現したいと強く願うほど、やる気は自然と湧いてくるからです。
やる気も意欲も一過性のもので、すぐに消えてしまう可能性が高いもの。
やる気の特性も踏まえ、根気よく刺激し働きかけ続けてあげて下さい。
家庭学習で親が教えることの意味というのは、多様な要素が含まれていることがお分かり頂けたかと思います。
ここからは、家庭学習で親が教える際の不可欠なポイントをお伝えしします。
家庭学習で親が教える際の不可欠なポイント
今の教科書を知ることが必要になるため、まずは子どもが持っている教科書をよく読んで下さい。
今の教科書を読むことにより、子どもに教えるべきことの要点を知ることが出来ます。
必要なことを過不足なく教えるためには、親も十分な準備が必要なのです。
市販の教科書ガイドや、教科書の元になっている学習指導要領を読んでみるのもおすすめですよ。
家庭学習で親が教える際の不可欠なポイントは以下の3つです。
- 自分の時の学習方法や経験則を持ち出さない
- 親が教えると決めた以上は徹底的に寄り添う
- 場合によってはプロに相談することも検討する
自分の時の学習方法や経験則を持ち出さない
昔と今では学習内容も勉強方法も違うということを前提に、子どもと接してあげて下さい。
学習指導要領は定期的に改訂され、教科書内容も少しずつ変わっています。
では、昔と今とではどのような変更点が見られるのでしょうか。
具体的に見ていきましょう。
社会
聖徳太子
今は「聖徳太子」ではなく、「廐戸皇子(うまやどのみこ)」と教えられます。
聖徳太子という名前は死後つけられた名前だったため、現在は生存中の名前「廐戸皇子」で教科書に掲載されています。
鎌倉幕府
現在は、鎌倉幕府の成立年は1185年とされています。
昔は「いい国(1192年)作ろう鎌倉幕府!」と覚えましたが、今は「いい箱(1185年)作ろう鎌倉幕府!」と覚えます。
理由としては、源頼朝が統治を始めた時期の定義を変更したことに関係します。
最古の貨幣について
昔は、708年製造の和同開珎という貨幣が日本最古のものであるとされていました。
しかし、687年製造の富本銭が発見されたことにより、富本銭が日本最古の貨幣とされています。
新発見によって、教科書の内容が変わった事例のひとつです。
理科
冥王星
昔は、太陽系の惑星は「水金地火木土天海冥」と語呂で覚えましたよね。
現在は「冥王星」は太陽系の惑星には含まれていません。
国際天文学連合が惑星の基準を見直し、「冥王星は惑星とは言えない」と唱えたことに則っています。
特に社会や理科は、新たに発見されたり定義の見直し等で、知識事項の修正が多い教科でもあります。
今の学習内容を知らないままでは、間違った知識を子どもに与えてしまいます。
自分の時とは違うという認識を忘れないよう留意しましょう。
親が教えると決めた以上は徹底的に寄り添う
次は、教える親の姿勢についてです。
親が教えると決めた以上は、徹底的に寄り添ってあげて下さい。
親の都合や気分でおざなりにしてしまっては、子どものお手本にもなりませんし、子どもの学習意欲も下げてしまいます。
事情があって親が教えることが難しい場合も、出来る限り工夫してスケジュール調整をしてあげて下さい。
一度決めたらあきらめずに徹底的に最後までやる!という強い気持ち、そして頑張り続けることの出来る理想的な学習姿勢というのは、親から学んでいくものなのです。
場合によってはプロに相談することも検討する
必要だと感じた場合には、塾や家庭教師も検討しましょう。
学年が上がるにつれて、わからないところは積み重なってしまいます。
子どもが「わからない」と訴える頃には、かなりの量の「分からない」が複雑に絡み合っているかもしれません。
気付きが遅れると、対処も難しくなる可能性がありますよね。
どこからわからなくなったのか原因を見つけ、根本的なところに立ち戻って理解し直すためには、豊富な経験と知識のある塾や家庭教師といったプロの力を利用することも必要かもしれません。
以上が、家庭学習で親が教える際の不可欠なポイントでした。
では最後に、家庭学習で親だからこそ出来る勉強意欲up術!をご紹介したいと思います。
家庭学習で親だからこそ出来る勉強意欲up術!
家庭学習で親だからこそ出来る勉強意欲up術!のご紹介です。
- 生活の中から好奇心を育てる
- 子どもの頑張りを認めて褒め、労い、共に喜ぶ
- 話し相手になる
生活の中から好奇心を育てる
好奇心を育てる種は日常にあります。
机に向かう勉強だけでなく、時には教材から離れ、身のまわりにも目を向けてみて下さい。
折り紙は図形の勉強そのものですし、公園では昆虫や季節の植物と触れ合うことができ、季節や天気によって表情を変える空は理科の最高の教材になります。
また、外出先ではさまざまな職業の方と出会い、キャリア教育にうってつけですね。
テクノロジーのという分野にも目を向けると、家電やデバイス(スマホやパソコン、アプリ等)が良い題材になってくれるでしょう。
これらのような実体験が豊富な子ども程、小学校から中学校、そして高校へと進むプロセスに難なく順応していく傾向にあります。
これは実体験を通じて思考力が育ち、考える経験を通じて情報の一般化ができるようになっていくからと言われています。
是非子どもと一緒に、「好奇心の種探し」をしてみて下さいね!
子どもの頑張りを認めて褒め、労い、共に喜ぶ
子どもは親が大好きです。
親の喜ぶ顔が見たくて勉強を頑張るという子どもも数多くいます。
子どもにとって、親の承認や労いに勝る喜びは無いと言っても過言ではないくらい、学校や塾の先生からの称賛の何倍もの喜びを子どもにもたらしてくれます。
親への甘えから、反抗期もあるでしょう。
それにイライラしたら、子どもの幼少期を思い出してみて下さい。
笑った、言葉を発した、立った‥‥と、日々の些細な「出来た」に心躍らせましたよね。
自分が頑張ったことで親が喜んでくれる、それが嬉しくてまた頑張るという子ども心は、昔も今も変わっていないはずです。
家庭学習で、親だからこそ知っている子どもの頑張りを認めて褒め、労い、些細な成長を共に喜ぶ。これは親だからこそ出来る関わりではないでしょうか。
話し相手になる
一見、そんなことが?と思われるかもしれませんね。
しかし、話し相手になるというのは勉強意欲up術として有効なのです。
そして「聞く」ということに徹してあげて下さい。
子どもが言うことは理屈が通っておらず、支離滅裂な発言も多いため、親はつい一言いたくなりますよね。
しかし、子どもには子どもの思いがあって、学校の友達と何かあったり、部活動のことで悩み事を抱えていたりと、子どもなりに日々一生懸命考えて頑張っています。
絶対的に信頼できる人=親が、自分の思いを聞いてくれるだけで、子どもの心はすっきりし、また頑張れるものです。
心がすっきりすると、勉強にも前向きに向かえるようになりますから、是非とも子どもの一番の応援団になってあげて下さいね!