毎日の宿題はもちろん、家庭での勉強への取り組みは悩みのタネ・・・というご家庭も多いのではないでしょうか。
家庭によって様々な工夫がされているかと思いますが、勉強に慣れていない子どもたちにとっては家庭学習は大変かもしれませんね。
家庭学習で大変なこととは、一体どのようなことが考えられるでしょうか。
やる気を引き出すアイディアも併せてご紹介したいと思います。
家庭学習で大変なことはどんなこと?
家庭学習で大変なことは以下の5つです。
- 毎日の学習を促す声かけがストレス
- なかなか学習に取りかからない
- 学習内容に興味がなく、やる気がない
- 集中力がなく、モチベーションが上がらない
- 教えると言うことを聞かず、嫌々勉強している
では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
1.毎日の学習を促す声かけがストレス
子どもが自ら学習に取り組まない場合、毎日声かけをしなければならないので大変、という親御さんは多いものです。
「声かけ自体がストレス」という声もよくお聞きします。
ときには甘い言葉で誘導してみたり、ときにはきつく叱ってみたり・・・。
子どものやる気を引き出そうと、日々奮闘している親御さんもいるでしょう。
しかし、なかには何度言ってもどんなふうに言ってもなかなか響かない子どももいるようですから、悩みは尽きませんね。
2.なかなか学習に取りかからない
子どものやる気維持の観点からも、なかには子どもを見守ることを選んでいるという親御さんもいます。
できるだけ子どもが自発的に学習に取り掛かるのを見守り、子どもに寄り添う姿勢で接していたとしても、一向にやる気配がない、いつまでたっても遊んでいるという状態では、それも難しくなってしまいますよね。
理想は「親からの働きかけがなくても、自分から取り組めるようになること」ですが、なかなか実現は難しいもの。
親としては、まずは宿題や勉強を終わらせてから遊んで欲しいと考えるものですから、声かけで子どもと喧嘩になってしまうこともあるのではないでしょうか。
- 学校から帰宅したら、おやつを食べていつまでもダラダラ
- 学習に取りかかるまでに時間がかかる
- 言われたことしかやらない
- 毎日言い聞かせてもできない
3.学習内容に興味がなく大変
4.集中力がなく、モチベーションが上がらない
取りかかりがうまくいっても、集中して続けることは小学生には大変なことでしょう。
宿題が多いときや疲れている日はやる気が出ず、注意散漫になって、余計に集中力がなくなってしまいます。
また、子どものやる気・モチベーションコントロールもそう簡単なことではありません。
集中力を養うことは大切!と、課題感や悩みをかかえる親御さんも多いようです。
- 集中が続かず、ひと区切りのたびに集中が切れてしまう
- ひとつ終わるたびの休憩が長い
- 筆記用具などで遊びだすなど脱線もしばしば
- 目の前のことが長続きしない
- 毎日のことに飽きてしまっている様子
- モチベーションの上げ方がわからない
子どもは日々学校で授業を受け、家では課題や宿題をこなしています。
そのため、「何のために勉強しているのか?」ということを考える機会はほとんどありません。
普段あまりじっくり考えることのないテーマであるため、それがよく分からないまま学習している子どもが多いはずです。
「何のために頑張っているのか?」がわからない状態では、モチベーションを上げることは難しいでしょう。
5.教えると親の言うことを聞かず、嫌々勉強している
子どもとの関わり方についての悩みも多く聞かれます。
- 教えているとついイライラして怒ってしまう
- 教えてと言われたから教えているのに話を聞かない
- 渋々机には向かうが嫌々勉強している
- 注意しても雑な字を書き、間違い直しを面倒がる
宿題をやるやらないというよりも、「学習の質」を気にする悩みの声が多数聞かれます。
親としては、嫌々勉強しても将来役に立たないのではないかと不安になりますよね。
以上が、家庭学習で大変なこと5つでした。
これらに対して、やる気を引き出すアイディアをご紹介しましょう。
やる気を引き出すアイディアで乗り切ろう!
子どもが勉強にやる気がない。
やる気にさせるにはどう声かけすればいい?
やる気にさせる言葉、子どもへのNGな声かけ、勉強のモチベーションを上げる工夫など、やる気を引き出すアイディアについて必読です!
- 机に向かわせる声かけ
- 子どもが自ら学習に取りかかるには
- やる気を引き出す言葉
- 集中力・モチベーションを上手くコントロールする方法
- 親の言葉を素直に聞ける魔法の言葉
机に向かわせる声かけとは?
「勉強しなさい」で効果がないようであれば、同じ内容のことを別の言い回しで言う必要があります。
そこで有効なのが心理学的の「選択話法」というテクニックです。
選択肢を与え、それを選ばせる方法ですね。
人間とはおもしろいもので、疑問を投げかけられるとその答えを探すようにできています。
「国語か数学か」と聞かれたら「じゃあ数学」と言うしかないのです。
「しない」という選択肢は最初からありませんし、用意してはいけません。
「勉強しなさい」と言えば「する・しない」の二択になるので、「しない」と言ってしまうのですね。
しかも、この方法のミソは「選んでもらう」こと。
これも心理学ですが、人間には一貫性の法則というものがあって、自分の発言に一貫性を保ちたいという心理が働きます。
「数学をやる」と自分で言ってしまったら、一貫性を保つために「やらないといけない」。
自分の言葉に責任を持たないといけない気持ちになるのです。
さらに、命令されたからやるのではなく、「自分で決めてやる」ので、子どもの自尊心を保つこともできます。
人に何かをしてもらいたい時は、「する・しない」ではなく、「どちらにする?」と質問するのが基本です。
子どもに勉強を促すコツ。子ども自身が自発的に勉強できるように声かけを工夫する。「何時ぐらいから勉強する?」と優しく声をかけ、勉強開始時間に余裕を持たせる。大人もそうですが、子どもを同じです。何でも急がされるとやる気を失います。子ども自身が自分で答えを選べるように声掛けの工夫は大切
— ゆーこ@ママ友付き合いを楽に (@Cutetwin_mother) November 26, 2022
知らない言葉は一緒に辞書を引いたり、わからないことはネットで調べたりすることで、わからないがわかったになるとやる気がアップします。
子どもが自ら学習に取りかかるためには?
机には向かったものの、勉強しないでダラダラしている時はタイマーが活躍します。
「はい、ここをやってね。5分ね。よーい始め!」
タイマーを発動し、子どもの目の前に置いてやりましょう。
それまで「やる気ありません」みたいな顔をしていた子どもでも、タイマーをスタートさせるとなぜか勉強に向かいます。
先ほどの「具体的に指示をする」という方法との合わせ技ですが、目の前に課題を提示し、さらにスタートボタンまで押されてしまえば、これはもうやらざるを得なくなるのです。
自分からは全然勉強しない子どもには、「毎日○時は勉強タイム!」と決めて、その時刻になったらすぐに問題集を手渡して「はいスタート!」と強制的に勉強を開始してしまうのも一手です。
それを根気よく続けて習慣化すれば、子どもが学習に取りかかる姿勢も大きく変わっていくことでしょう。
子どものやる気スイッチ【勉強編】⑤
「タイマー作戦」
今日は5分間でどれだけできるかな〜?と時間を区切って計算ドリルに挑戦。時間を区切るだけでやる気がアップするから不思議なものです。学校の黒板にも大きめのタイマーをくっつけている先生もたくさん見かけるようになってきました。— ひろ|子どもの可能性を引き出す💪 (@jadosuru22) December 19, 2022
やる気を引き出す言葉とは?
子どもが、勉強せずにダラダラ自室にこもっていたら、「頑張ってるね」とお茶菓子でも差し入れてあげて下さい。
子どもが部屋にこもっていたら、何をしているのか気になりますよね。
自室に乗り込んで、「勉強しなさい!」なんて言おうものなら「今しようと思っていたのに!」と返されるのが目に見えています。
そういう時は、「頑張っているね」と言いながら、ココアでも出してあげてはいかがでしょうか。
そう言われたら、今勉強していなかったとしても勉強をやるしかありません。
あるいは、「今日はどのくらいできた?」と聞くのもいいでしょう。
「すでに勉強している」前提で話し、ごほうびを先に与えてしまうことがポイントです。
こう言われたら逃げられませんよね。
褒められるとうれしいので机に向かう時間も増えますよ。
「○○をがんばったからできたね。」
何をがんばったか、具体的に褒めると効果抜群です。
いい結果でなくても、子どもの努力が見られていたら褒めてあげましょう。
「やれ」と命令されると、抵抗・反発したくなるものです。多感な中学生ならなおのことです。
そんな言われ方をしても、子どもにはピンとこない、体験してない事だから想像も出来ないし、何が困るのか伝わりません。
他の子と比較をされると自尊心が傷つき、逆効果です。
集中力・モチベーションを上手くコントロールする方法とは?
- 外発的動機づけ
- 内発的動機づけ
外発的動機づけとは
報酬や評価、地位、名声、叱責など、外発的な誘因によってやる気を出すこと。
大人は子どもに勉強をさせるために「クラスで一番になったらカッコいいよ」というように、外発的動機づけを高める言葉がけを無意識のうちに行ってしまいがちです。
これは、短期で結果を出す試験勉強などには効果的ですが、それだけに偏っているとやる気や集中力は長く安定的には作動しません。
内発的動機づけとは
学ぶことの楽しさや好奇心、向上していく快感など、自分の心の中から内発する誘因によってやる気を出すこと。
「この分野は知れば知るほど面白い」といった内発的動機づけが高まつことで、「学ぶこと」そのものに興味を持ち、やる気につながります。
とはいえ、勉強の楽しさばかり熱心に伝え、内発的動機づけだけに頼っていても、外発的動機づけ(よい結果を出した時の褒め言葉やお祝いなど)が満たされなければ、やる気が湧かなくなってしまうかもしれませんよね。
外発的動機づけと内発的動機づけは、両方とも大切なモチベーションです。
この2つのモチベーションを生かして、やる気を持続させ集中力を上げていきましょう。
親の言葉を素直に聞ける魔法の言葉
NGワードやネガティブな言葉を言う代わりに、子どもには次の魔法の言葉を多く使ってあげて下さい。
使い方のポイントは、軽めのテンションで言うことです。
本当にすごいときには「うわぁ、すごいっ!」と素直に感動しても良いのですが、本当にすごいことはそう度々はないでしょう。
こういった大きなリアクションはたまに使うから効果があるものです。
日頃は「すごいね、良かったね」と軽いテンションでさりげなく反応するのがベターですね。
これはSNSなどで「いいね」をもらうのと似ていて、人は反応がたくさんあるだけでうれしいものです。
これを「承認」と言いますが、今は「承認欲求の時代」とも言われています。
子どもも大人も周囲から認められたい願望がとても強い時代に生きているといえるでしょう。
以上が、やる気を引き出すアイディアを5つでした。
最後に、言葉の力で高める自己肯定感について解説しましょう。
言葉の力で自己肯定感を高めよう!
自己肯定感とは?
- 自分を自分であると認める感覚でもあり、自分の短所や弱みや悪いところも含め、ありのままの自分を肯定する力
- 他人と比較するのではなく、「自分はこれでいいのだ」とありのままの自分を認める力
- あらゆる人間関係の構築においても、自己肯定感は重要な役割を果たす
自己肯定感を高める言葉の力とはどんなものでしょうか。
自己肯定感と子どもの能力はどう関係するのか、またそのメカニズムについても見ていきたいと思います。
- 自己肯定感が高い人・低い人の特徴
- 子どもの自己肯定感が高まれば能力も上がる
- 家庭で高める自己肯定感
自己肯定感が高い人・低い人の特徴とは?
自己肯定感とは、自分を肯定できる感覚のことを言います。
自己肯定感が高い人・低い人、それぞれについて詳しく見ていきたいと思います。
自己肯定感が高い人の特徴
1.他人の評価に左右されない
自己肯定感の高い人は、自分には価値があるという考えがベースにあり、自分の良いところも悪いところも受け入れることができています。
自分の考えに自信を持っているため、周りからの評価に対して必要以上に左右されることもありません。
よって、たとえ周りからのマイナスな意見や忠告があったとしても、それは自分とは切り離して考え、「そういう意見もあるんだな」と受け止めることができます。
2.失敗を恐れない
自己肯定感の高い人は、物事の失敗に対して「自分がダメだ」とは捉えず、「失敗する自分もありのままの自分」と受け入れることができています。
そのため、チャレンジすることに対して必要以上に恐れを抱かず、突き進む意欲と行動力を持っています。
物事を肯定的に捉えることができるため、失敗に対しても落ち込みが少なく、次のチャレンジに向けてアクションを起こすことができます。
3.他人を尊重できる
自己肯定感の高い人は、自分とは違う価値観や意見に対して耳を傾けることができ、相手を尊重できるため、他人のことも受容できる力があります。
そのため、多様性を受け入れ、違う価値観や意見も前向きな議論に発展させることができます。
周りとのコミュニケーションがうまく取れるため、結果として人間関係も良好になることが多い傾向にあります。
自己肯定感が低い人の特徴
1.他人と比較し、劣等感を持ちやすい
自己肯定感が低い人は自分を認めることができないため、自分に自信がもてず、周りからの評価や他人との比較で自分の存在価値を図ろうとします。
周りと比較して「自分は劣っている」と劣等感を感じたり、反対に自分で自分を認められないために、「自分はもっとできるはずなのだ」と自分を過大評価したりしてしまうこともあります。
事実から目を背け、自分を過大評価したところで、結果として現実の自分と理想の自分とのギャップや周りの評価が得られないことに苦しむことになり、劣等感が増すことにも繋がります。
2.物事を否定的に受け止めやすい
自分自身を肯定できないために、自分の周りに起こる事象に対しても否定的に捉えてしまう傾向があります。
たとえば、客観的に見れば成果を残していても、「自分は出来ていない」や「もっとできるはずなのに実力を出せていない」と認めることができません。
また、失敗が自己否定につながってしまう傾向があり、失敗したくないという思いから不安や恐れが大きくなり、新しい取組みに挑戦する機会があっても行動に移せなくなります。
3.人間関係に問題が生じやすい
自分と違う意見や価値観に対しても、自分自身が否定されているように感じるため、他人の意見を素直に受け取ることができません。
他者の意見やアドバイスに耳を傾けられなかったり、他者を否定してしまったりすることもあります。
そのため、コミュニケーションがうまくいかないことも多く、結果として人間関係がうまく構築できない、信頼関係が築けないなど問題が生じることが多くなります。
子どもの自己肯定感が高まれば能力も上がる
日本の子供たちの自己肯定感が低いのは、まず勉強で潰されてしまっている可能性が高いと言われています。
子どもたちを計る尺度が「学力」しかないようなところがあって、例えば良い学校に合格すれば人間的にも素晴らしいように思い、逆に学力が低いと人間的にも問題があるように思われてしまう節があるからです。
これはまったくの錯覚なのに、周囲の大人がそのように接するので、子どもたちがどんどん自信をなくしてしまい、自己肯定感が下がってしまうのです。
本来は学力だけではなく色々な尺度があって、気配りができるとかモノ作りが上手とか、どの子供にも必ず長所があるはずなのです。
何か1つでも2つでも自分に対して自信をもっている、心が満たされているということがあれば、それだけで心豊かになって幸福感につながります。
ところが親も学校も子ども自身も、他の人間と学力で比較してしまうため凹んでしまうのです。
では、学力で凹んでしまうのならば、その学力を上げれば良いのです。
事実、成績が上がれば自己肯定感も上がり、逆に自己肯定感が高ければ学力や能力がより上がって、結果頭の良い子に育つということです。
家庭で自己肯定感を高めよう!
子どもたちの成績を上げると同時に重要なのが「家庭」です。
子どもにとっては家庭の影響力が1番大きいからです。
親自身の自己肯定感が低いならば、親子両方の自己肯定感を「言葉の力」を使って上げれば良いということになりますね。
言葉の影響力というのは非常に大きく、言葉ひとつで相手を潰すこともできますし、良い励ましのプラスワードで気持ちも上げることもできます。
言葉というのは相手に伝えるだけでなく、発する自分自身の耳にも入りますから、その言葉は当然そのまま自分にも返ってきます。
つまり、親が子どもに「魔法の言葉」を使うのは一石二鳥なのです。
子どもが自分のことを客観的に見られるようになるのは、8〜9歳頃。それまでは大人から言われる言葉の影響が強く「食べるのが遅い」「好き嫌いが多い」等言われ続けると「自分はそうだ」と思い込み、やる気や自己肯定感等の低下につながってしまうことがあります。子どもへの声かけは、前向きな言葉を。
— ゆき☃️6y&3y@離乳食・幼児食コーディネーター (@yuki_rinyusyoku) January 26, 2023
『子どもの自己肯定感を高めるマジックワード10』
以下の言葉の背景にある心理を支援者がいつももてると良いな💕
なるほど
すごいね
だいじょうぶ
さすがだね
知らなかった
いいね
助かった
ありがとう
嬉しい
らしくないね石田勝紀先生「子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば」より参照
— 宇佐川研(発達障害臨床研究会) (@usagawaken) January 9, 2023